ジェット・リー主演『大地無限』(ネタバレあり注意)

中国を代表するカンフースターのジェット・リーですが、1982年に『少林寺』という映画でデビューしたことは、多くの中国武術愛好家の中でも有名です。

その後、離婚や再婚、そしてハリウッド進出が原因で、中国国内で非国民として激しいバッシングを受けた時期もありましたが、それでも持ち前の精神力と演技力と功夫で、見事に復帰して、今では国民を代表する武星(カンフースター)として、確固たる地位を築き上げています。

私が中国に住んでいた頃、ジェット・リーがテレビや映画のインタビューに答えている姿をたくさん観ましたが、格好良いアクションとは裏腹に、とても落ち着いた論理的な話し方をする、深い洞察力と信仰を持っている方だと思いました。

私は、ジェット・リー(中国名は李連杰さん)のファンなので、語りたいことはたくさんありますが、それはまた別の日に書きます。

今回は、ジェット・リー主演の映画で、1993年に公開された、『マスター・オブ・リアル・カンフー /大地無限(だいちむげん)』(原題:太極張三豊)の感想を書きたいと思います。

少林寺で共に修行をしながら育った幼馴染みの男の子2人が、考え方や価値観の違いで別々の生き方を選ぶストーリーなのですが、ジェット・リーが演じる主人公の君宝が、最終的に太極拳を編み出すきっかけになったのがPTSDです。

「きっかけ」という表現が的確かわかりませんが、親友の裏切りにより、大切な人を目の前でたくさん殺された君宝は、正気を失います。

その描写が、PTSDの症状と非常に類似しています。

回避(そのことを思い出す場所や話を避ける)、侵入(フラッシュバック)、過覚醒(過度の緊張)、解離(離人症と呼ばれる症状)などです。

きっとPTSDで苦しんでいる人だったり、耐えられないほど苦しい経験をしたこのある人だったら、共感できる描写だと思います。

正気を失った君宝は、献身的にケアをしてくれる仲間によって守られ、そしてある情景を通して、正気を取り戻します。

その経験が太極拳を編み出すきっかけとなります。

「放下負担,奔向新生命」
(負担を手放して、新しい人生に向かおう)

「放下負担,奔向新生命」
(負担を手放して、新しい人生に向かおう)

「放下負担,奔向新生命」
(負担を手放して、新しい人生に向かおう)

「放下負担,奔向新生命」
(負担を手放して、新しい人生に向かおう)

4回この言葉を繰り返して、走り出すジェット・リーの演技を観ると、私は涙が滲んできます。

人間は、社会の常識で生まれてきた訳でも、生かされる訳でもないと思います。

自然の理によって生まれてきて、生きていくのだと思います。

「負担を手放して、新しい人生に向かおう」

もう、15年以上も前に観たジェット・リーの中国映画ですが、何度観ても絶望の中でも希望を持てると感じることができます。

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