「陳家溝太極拳館」にて、ある日の会話

以前、私が中国の河南省鄭州市に住んでいた頃に通っていた「陳家溝太極拳館」で、いつも一緒に練習していた中国人の拳友と交わした会話です。

 

拳友:よぉ、メイダイヅ(私の中国名)今日も来てるね。

私:うん!

拳友:ところでさ、君、一人で中国に来ているんだよね。お母さんは心配しているでしょ?

私:ううん、母は私のことなんて心配しないよ。

拳友:… でもお父さんは心配してるよね、娘だもん。

私:私、お父さんはいないんだ。

拳友:あ、ごめん!もう亡くなっていたんだね。ほんとごめん。

私:え、死んでないよ。私が小さい頃に離婚したんだよ。たぶんまだ死んでないと思う。

拳友:… たぶん?

私:う~ん、どこにいるか知らないから分からないんだ。

拳友:…

私:あ、気にしないで。私は気にしてないから。

拳友:… お父さんと連絡とってないの?

私:え? 離婚したお父さんとどうやって連絡とるの?

拳友:… じゃあ、兄弟は?日本では一人っ子は少ないんだよね?

私:うん、弟が1人いるよ。

拳友:じゃあ、さぞかし仲が良いんでしょ。

私:うん、子供の頃は仲良かったけど、もう何年も連絡してないよ。メールしても返事が来ないんだ。

拳友:…

私:あ、でもこうして太極拳館でみんなと練習できて、私は寂しくないよ。あまり気にしないで。

拳友:… 日、日本て、子供は自立しているんだね。いやぁ、中国はダメだなぁ、中国の父母は子供が30歳を過ぎたってお小遣いを渡したりして、何でもしてあげる国だから、子供は親に依存しちゃってさ。日本人はしっかりしているんだね。

私:へぇ、そうなんだ。中国人の父母って優しいんだね!

拳友:優しいっていうのかな~、いやいや、やっぱり子供は両親から自立しているほうがいいに決まってるよ。祖父母が孫にべったりっ、ていうのはあると思うけどね。君の祖父母は?

私:いないよ、両方とも他界してるよ。

拳友:え!じゃあ、親戚は?

私:いる、と思うけど、子供の頃から全然交流ないよ。

拳友:… 理解できない。

私:あ、たぶん私が特殊だから、これが日本人のスタンダードだって勘違いしないでね。日本人だって仲の良い家族はたくさんいるよ!

拳友:じゃあ、君がたまに日本に帰っているときは、友達の家にお世話になっているのかい?

私:… 違う。私、友達いない。

拳友:え?

私:私、帰るところないの、私、ある団体に所属していて、その人たちの家を転々としているの。

拳友:え?

私:私もどうしてこうなったのか分からないんだ。でも一生懸命に太極拳を学んで、いつか太極拳の先生になって独立したら、こんな風にいつも仲間と一緒にいられるから、きっと寂しくないと思ってるんだ!

拳友:(汗)う、うん。そうだね。僕ら太極拳を学んでいる人はみんな拳友(チュエン ヨウ)だ。君は苦労しているみたいだから、将来きっと幸せになれるよ。

私:ありがとう!あ、教練がきたよ。授業が始まるよ。

 

この時期は、既に日本人だとバレないくらいの中国語の日常会話力があったのですが、この会話は、我ながら、まったく噛み合っていなかったな、と思います。

当時、私はもう32歳でした。

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