21歳のとき婚約者から逃げたこと

私は18歳で、実家の宮崎から東京に来ました。

そして、私が21歳のとき、私を好きになってくれた同い年の男性がいました。

その人の仕事は、ビジュアル系ロックバンドのスタッフでした。

その人は、私と恋愛関係になる前に「結婚しよう」と言ってくれました。

正義感が強くて、家族愛の深い人でした。

その人の仕事仲間の方々も、みんな本当に良い方たちばかりで、

「あいつと結婚した方がいいよ。あんなに良いやつは、そう滅多にいないよ」

と言ってくれました。

でも私には、どうしても「恋愛」という感覚が理解できませんでした。

「実の親にも愛されないのに、他人に愛される訳がない」

当時の私は、そう思っていました。

ただ、「この人は私に危害を加えない人」という認識はできました。

その人は、いつもバンドの全国ツアーで、ほとんど東京に居なかったのですが、たまに会うと、結婚の段取りがどんどん進んでしまいました。

私は戸惑って「まだ恋人になった訳じゃない」と言いましたが、その人は、

「俺の両親に会えば、結婚するのは怖くなくなる」

と言っていました。

私は、「もしかしたらこの人の愛情で、自分は変われるかもしれない」と思いました。

私はその人に連れられて、その人の実家に行くことになりました。

その人の、お母さんも、お父さんも、弟さんも、とても優しくて親切な家族でした。

その人のお母さんは、

「娘が欲しかったの、家に来てくれて本当に嬉しい」

と言ってくれて、

「あまりにも嬉しくて、もうウエディングドレスも用意してしまったの」

と言って、クローゼットに掛けてあった、私のために用意してくれた、白いウエディングドレスを見せてくれました。

純白のドレスを見て、私は「美しい」と思いましたが、同時に「私には着る資格がない…」と感じました。

何と答えたら良いのか分からずに、ぼう然としていると、その人のお母さんは、10万円もするダイヤモンドのネックレスを、私の首に掛けてくれて、

「貰ってちょうだいね」

と言ってくれました。

とても優しくて、情熱的で、私にはもったいないくらい、とても素敵なご家族でした。

しかし、東京に戻る新幹線の中で、私は発作を起こしました。

その人は、両親が私を気に入ってくれたことで上機嫌な様子でしたが、私はその人の言葉が何も耳に入りませんでした。

「ねぇ、怖いよ、私には無理だよ。ごめんなさい、ごめんなさい…」

身体がガタガタ震えて、新幹線の中で、私だけが世界から切り離されているような感じがしました。

結局、その人から、私は逃げてしまいました。

その人とは、たぶん2年くらいはたまに連絡を取っていましたが、私の症状(自暴自棄)が耐えられなかったのか、いつのまにか連絡は来なくなりました。

複雑性PTSDは、自分の身の安全が確保されたと感じると、とたんにそれまで抑えられていた感情が、一気に出てしまうことがあるそうです。

それは、本人ですら耐えられないものなので、PTSDを抱える人を好きになった人に、その症状に耐えなければならない責任はないと思います。

当時の私は、「優しくしてくれる人は、必ずいなくなる」という人生観しかありませんでした。

裏を返せば、「優しくしてくれる人に、ずっと側にいて欲しい」ということなのですが、正反対の感情との狭間で、混乱していたのだと思います。

現在の私には、パートナーがいます。

その人も、孤独な虐待サバイバーです。

私のどんな症状にも「ドン引き」せずに側にいてくれる現在のパートナーに、心から感謝しています。

幸せから逃げてしまう人には、逃げてしまう原因があるのだそうです。

でも、その行為も、その人なりに必死に幸せに向かおうとしている過程なのだと思います。

最近出会った『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』という本に書かれてあった、白川美也子先生の言葉、

私は虐待を生きのびた人に「フラッシュバックで死んではダメ」と話します。

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本 白川美也子 ()

20代前半の頃に、この言葉と、この本に出会っていたら、私の人生はきっと違うものになっていただろうと思います。

20代で結婚して、普通に幸せな家庭を持てていたかな?

今の人生と、どっちがいいだろう?

天涯孤独な中国武術の講師。

普通の人生じゃなくなったけど、それでも師匠や生徒さんに出会えた…

何歳になっても遅くはないと思います。

もし今、トラウマやフラッシュバックで苦しんでいる人が、このブログを読んでいたら、ぜひ一度、白川美也子先生の『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』を読んでみて欲しいと思います。

フラッシュバック(トラウマの再体験)は、絶対なくなります。

専門治療を受けられなくても、治るときは治ります!

それまで、生きて、いま苦しいなら、逃げてもいいから、生きて!

そして、反対に、生き辛い人と出会ってしまった人たちへ

もし、苦しんでいる人の話を聞いて、自分も苦しくなったら、逃げてもいいと思います。

罪悪感を感じる必要はないと思います。

みんなそれぞれ「自分の本当の幸せに向かって生きる」だけでいい。

今の私は、そう思っています。

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