医師の宣告

2013年8月の夏。

青いっぽい服を着た執刀医が、頸椎の模型を持ってICUに入ってきて、ベッドの上で横になっている私と、隣に立っていた前代表に、私の頸椎の状態について、無表情で説明をしてくれました。

「頸椎のC4とC5が脱臼して、靭帯が切れています。一度切れた靭帯は元には戻らないので、後方固定術という手術をします」

(誰の話をしているんだろう?)

(手術?)

(私は麻林城老師と一緒にNYの武術大会に出なきゃいけないのに)

(会だって、13クラスもあって、100名を超える生徒さんたちが教室で私を待っているのに)

(オールアバウトの執筆や、「自分学校」という講師の仕事もあるのに)

前代表も同じく、頭が真っ白になっていたのだと思います。

ドクターは続けてこう説明してくれました。

「人工骨という方法もあるのですが、頸椎は重要な部分なので、腰の骨を削って、あの『自家骨』って呼ぶんですけどね。つまり自分の腰の骨を削って、それを半分に割って、頸椎のちょうど魚の背びれのような形をしている部分を挟んで固定します。腰の部分は人口骨を入れます」

(腰の骨を削る? 人口骨を入れる? 頸椎を固定する?)

もう訳が分からず、発狂したいような気持で聞いていました。

ドクターの説明は、続いて、

「あ、あと髪は剃ります。全部は剃りません。耳から下の部分だけ剃ります。いわゆる『ワカメちゃんカット』になります」

と言いました。

そのとき、はじめて私は自分の怪我の深刻度が理解できました。

ドクターは、

「何か質問はありますか?」

と私に聞きましたが、私は何も話せませんでした。

つづく

>> 手術までの3日間

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