八卦掌が織り成す二重螺旋とDNA

八卦掌 DNA

私が陳式太極拳から八卦掌に転向したきっかけは、

正直に(ネガティブ)に書くと、

「私の身体では、陳式太極拳を極めることはできない」

と悟ったからです。

あとは、武縁に恵まれず、正師に出会うタイミングを逸したこともありますが、それよりも、やはり自分の身体で極められる中国武術を探していたことが強い理由だと思います。

思い切って八卦掌に転向してからは、一度も後悔したことはありません。

中国河南省の陳式太極拳館に留学していた頃は、太極拳の教練の方々や、仲間に、

「もっと太れ、もっと食べろ、もっと筋肉をつけろ、もっと逞しい身体になれ」

と言われていたので、得意だった「陳式太極単剣」と「陳式太極拳 競賽套路(56式)」以外は、もう伸びないと限界を感じました。

(でも「老架二路」は回転が多いので、暇さえあれば楽しくて夢中で練習していました)

八卦掌の師に弟子入りしようと決意したときに、師である麻林城老師(当会名誉顧問)に初めに質問したのは、体格のことでした。

私「このひ弱な身体で、八卦掌を習得することはできるでしょうか?」

老師「まったく問題はない、今より太る必要もないし、痩せる必要もない」

と言ってくださったときは、再び希望が蘇ったように目の前が明るくなりました。

麻林城老師は続けて、

老師「八卦掌は筋肉で行うものではない、どんな体格でも極める方法さえ知り、そして正しく鍛錬すれば、高度なレベルまで習得することができる」

とおっしゃっていました。

そうは言っていただけても、最初のうちは自信がなかったのですが、数年間がんばって単調でストイックな鍛錬に取り組んでいると、ある瞬間から「自由自在」という感覚を少しだけですが感じ取れるようになっていきました。

八卦掌の特徴は螺旋運動です。

太極拳にも円運動や螺旋運動はありますが、両者の違いを簡単に述べると、「八卦掌は常に移動しながら螺旋運動を行い続ける。決して止まらない」ということにあります。

二本の足で圏を歩きながら、DANの立体構造のように二重螺旋の運動を行う。

それは、見る方も、行う方も、ただただ美しい、と感じる動きです。

拳書を持たない八卦掌は、人と人とが代々受け継いで、現代まで継承されてきました。

中国伝統武術界が最も美しいと誇る武術、それが伝統程派八卦掌です。

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