職場で学んだ心の平安

会社勤めで感じたストレス

24歳の頃、私は派遣社員としてwebデザインと簡単なCGIプログラム製作の仕事をしていました。

派遣された当初の職場環境は、パーテーションで正社員の人たちと区切られたスペースで、一人でパソコンに向かって仕事ができる状態でした。特に精神的な問題は起こりませんでした。

1年ほど経つと「正社員になることを検討してみて欲しい」ということを上司から言われました。

その派遣先の会社はあっという間に、二部上場して、間もなく一部上場しました。

そのタイミングで、派遣の私の助手として、アルバイトを雇うことになりました。

パーテーションで隔離された環境で、そのアルバイトの女性と2人だけ、という閉塞的な職場環境は、私にとって強いストレスとなりました。

正社員、派遣社員、アルバイト、では、取り扱うデータや、サーバーへのアクセス権限など、明確な分担があるのですが、アルバイトの女性に何度説明してもそのことを理解してもらうことができず、彼女は私が任されている仕事をしたがりました。

私の説明では納得できなかったらしく、彼女は直接上司に直談判をするようになり、webチームとして上司とうまく連携が取れず、業務にミスが多発するようになり、私は思い悩みました。

その女性は、仕事中に精神的な発作で倒れたりしていたので、心に何か問題を抱えていたのかもしれません。母子家庭で、母親が子離れできなくて困る、といった内容の話をしていたのを記憶しています。

私は、web業界の友人に相談し、派遣とアルバイトの違いを言語化してもらい、直接その女性に会社の階段の踊り場で説明しました。

冷静に説明しようとしたのですが、途中から語気が荒くなっていき、最後は感情をぶつけてしまいました。

彼女を傷つけてしまったのではないかとその場で反省しましたが、しかし、なぜか彼女は泣きながら私に「ありがとう、横山さん、そんなに私のことを真剣に考えてくれた人は今までいなかった。これからも仲良く仕事をしたい」と言っていました。

争いからは何も生まれないことに気づく

結局、その後もその女性の勤務態度は変わらず、担当していた業務にケアレスミスが多発することも防げず、私のストレスはピークに達してしまい、ある日、その女性の言動に怒りを覚えた私は、無言のまま、目の前が真っ赤になりました。

見慣れたオフィスの景色が真っ赤に見えたことで、私は自分が危険な精神状態にあることを自覚しました。

そして、「争いからは何も生まれない」と気づきました。

狭いパーテーションで区切られたスペースの中で、私とその女性が争って健康が侵されるのは無意味であるし、お互い傷つけられる罪も犯していないし、傷つける権利もないことに気づきました。

彼女が私の担当している仕事を欲しがっているのであれば、譲ればいいと思いました。

会社に委ねる

web業界の先輩に相談に乗って貰ったところ、

「君は上司への状況説明の責任は既に何度も果たしているし、助手であるアルバイトの女性にも説明は何度もしているし、あとは会社とアルバイトの問題だよ。君の抱えている派遣社員としての業務上の問題は、派遣元の担当者に相談してみるべきじゃない?」

というアドバイスを貰いました。

私は、先輩のアドバイスの通りに行動しました。

私が持っていた「仕事をする上での考え方」を手放したことで、事態は急速に変化しました。

アルバイトの女性は、仕事が増えて毎日楽しそうにしていました。

私も責任が軽くなって、体調が良くなってきました。

徐々に、派遣社員の私が、本来は助手であるはずのアルバイトの助手をしている、という流れになり、立場が逆転していましたが、私は身を委ねました。

やがて、アルバイトの女性の業務ミスは私がカバーできないほど増えていき、上司は多忙を極め、アルバイトの女性も私に助けを求めるようになりました。

私は、派遣社員として会社への自己アピールにはなりませんでしたが、彼女に求められるままに仕事のフォローをする、という流れの中で「争わない」ことで生まれてくる、幸福感や心身の健康を感じていました。

自分をいじめている自分に気づく

そのことがきっかけとなり、私の考え方が変わっていきました。

「自分を苦しめているのは、自分自身じゃないのか? もう誰も追いかけてきて、私をいじめる人はいなくなった。私は実はもう幸せになれるんじゃないのか?」

そういう風に考えるようになりました。

職場で学んだ心の平安

派遣社員としてweb製作の仕事をしていたのは3年ほどです。

正社員になるチャンスは2度ありましたが、声をかけてくれた上司が相次いで退職したことで、結局正社員にはなりませんでした。

しかし、3か月単位の更新制度という派遣社員の不安定な勤務状況の体験から、私は昇進することよりも「平安」に生きることのほうが、自分に向いていることを知ることができました。

どうしたら「平安」に生きていけるか、私はweb製作の知識より、生き方について興味を持つようになりました。

2018年4月10日 加筆修正(未完成 執筆中)