日本中国伝統功夫研究会

私たちの会は八卦掌の鍛錬を通じ「天人合一」の境地を学ぶ会です

体の変化

 2008年1月下旬、帰国を延期し「日本中国伝統功夫研究会」のWEBサイト製作と、それに伴う資料の整理とかこつけて、私は河南省に居残っていました。

 今にして思えば、日本に帰りたい、帰りたい、と表層意識では思っていましたが、本当は帰るのが怖かったのかもしれません。

 私はインターネット環境を整えるために、知人に中古のパソコンの調達を依頼して、諸々の準備が整うまでの数日間、積年の迷いから開放された爽快感と、伝統八卦掌の鍛錬&「研究会」のサイト製作という、新しいことに取り組めるワクワク感で、上機嫌でした。

 その年の冬はとても寒く、大雪が降りました。

雪の中で

 外は寒かったですが、心は躍っていたので、自宅で八卦掌の基本功を終えると、毎日外に出かけていました。

 当時、主に練習をしていたのは、足のつま先を内に入れる「扣歩」(コウ・ブー)と、つま先を外に開く「擺歩」(バイ・ブー)と、狭い部屋のスペースでも膝を痛めない直走(まっすぐ歩く)でしたが、みるみる体調が良くなっていく実感が得られるので、私は天にも昇るような気分でした。

 「我終于找到了真正的方法!」
 (やっと本物の方法をみつけた!)

 特に、長年悩まされていた腰痛と頚椎病が短期間で殆ど感じられないほど改善されている事を発見した私は、感謝の気持ちで一杯になり、麻林城老師のいらっしゃる北京の方角に向かって土下座をして御礼を言いたいほど感動していました。

 練習を終えると“両足”がまるで“両腕”のように自由になっている感覚があるのです。

 自由自在に歩ける感覚というのは、生まれて一度も体験した事のない、素晴らしい解放感でした。

雪の中で

 体の動きが根本から変わっていくようで、もう楽しくて楽しくて仕方がない、といった状態でした。

 たまにヨガ・センターで友達になった小朱という女の子が、朝ごはんに包子(バオズ)を買ってきてくれましたが、私の元気な様子を見ると「良かったね~♪」と言ってくれました。

朝ごはんに包子を食べる

 とにかく、私はこの時上機嫌でした。

 中国に来て初めて、ゆったりとした気分で練習に取り組めていました。

 毎日がとても新鮮で、とても充実していました。

 晴れた日には、外でおばあちゃん達と一緒に“ひなたぼっこ”なんかしちゃったりしていました。

おばあちゃん達と一緒に、ひなたぼっこ

 もう気分は、エブリデイ・バーチャル温泉旅行です。

(あははは~♪きっともう苦しいことは、ぜーんぶ通り過ぎてしまったのだわ~、これからは八卦掌で幸せな人生を送れるのだわ~☆)

 そうです、私はこの時、まだ気づいていなかったのです。

 長く苦しく、更に濃厚になってゆくストイックな中国留学生活は、まだ終わってなどいなかったのです。

 この後の、残り2年と2ヶ月間の、地獄のような「うつ病」と「スランプ」と「孤独」との戦いは、確実に私を待ちかまえていたのです。

 それは、パソコンとインターネットという、如何にも嫌な予感がする設備がそろった時点から、徐々にその核心部分を露出していきました。

 その核心とは、

「なぜ、体の弱い30歳を過ぎた女性が、中国で伝統武術を学ぶのか?」

 ずっと自分自身でも解らなかった最終矛盾に、自らぶち当たらなければならない時期が訪れようとしていたのです。

つづく

ニーハオ、北京!

一度目の帰国

再び北京へ

二度目の帰国

太極拳発祥の地 -河南省-

三度目の帰国

太極拳発祥の地 -河南省-

八卦掌への道

八度目の帰国

八卦掌への道(中盤)

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