世界中で中国武術の鍛錬や愛好がされている以上、「カンフーライフは場所を選ばない」と言いたいのですが、精神も身体もさほど強くない(むしろ軟弱な)自分にとっては、場所すなわち環境はとても重要だ思い知らされました。
「中国功夫は公園から生まれる(中国功夫出公园)」と言われますが、ここ数年、カンフーライフとサラリーマンライフを両立させようと、「通勤が便利でかつ近くに公園があるところ」を探して何か所か住んでみましたが、「公園は近いが駅まで遠い」とか「会社には近いが公園が遠い」とか、選んだ環境下で練習を習慣化させようと努力しましたが、なかなかうまくいきませんでした。
今年になって、吉祥寺・三鷹の井の頭公園周辺エリア(武蔵野の森というのでしょうか)に戻ってきたのですが、ようやく「ああ、ここなんだ」と肌で感じることができました。この場所にたどり着くまでたびたび引っ越す羽目になってしまいましたが、どうやらここが自分にとってベストエリアのようでした。
「寸暇を惜しんで練習せよ(抓紧时间下功夫)」「出勤前に朝練をすれば一日が充実するし、気力も体力もついて会社の疲れを残しにくい」と自分に何度強く言い聞かせても早起きが辛かったのですが、今では早く目が覚め、近くの公園に自然と足が向き、なんなら井の頭公園まで行って練習してから出勤することもできます。心と体が自然と動くのは本当に嬉しいことです。
意気込みだけではどうにもならない部分を、自然や街、歴史や文化、人々の雰囲気などが補ってくれているのだと思います。
何世代か前の中国武術の老師方は気に入った公園や場所で鍛錬を積まれていたそうです。先師におかれてもそうなので、功夫も境地も遠く及ばない自分にとってはなおのこと、自然に練習できる環境が必要なのだと思います。
中国武術も中国という大地と歴史、思想や文化、そこに生きる人々という大きな「環境」があってこそ生まれ発展したのですから、これが正解なのではないかと思っています。