中国には「天下功夫出公园」(天下の功夫は公園から生まれる)という言葉があります。中国で学んできた横山会長によると、北京でも鄭州でも、朝の公園には太極拳や八卦掌を練習する人の姿が当たり前のようにあったそうです。中国武術は、公園という場所と一緒に育ってきました。以前は練習しやすい公園が近くにない所に住んでいましたが、2023年に井の頭公園のそばへ戻ってからは、晴れた朝は出勤前に井の頭公園で練習してから一日を始めています。室内の教室で学んだことを、公園で自分のものにしていく。その積み重ねが、カンフーライフの土台になっています。
地面と空気が、身体を教えてくれる
公園練習の一番の恩恵は、地面です。落ち葉が積もった柔らかい地面は膝を痛めにくく、長時間の練習にも向いています。それだけでなく、わずかな起伏や木の根を足裏が読み取るので、室内の平らな床の上では育ちにくい足腰の感覚が自然に育っていきます。
もう一つは空気です。木漏れ日の下、雑木林の清浄な空気の中に立つと、呼吸が意識しなくても深くなります。站椿功や気功法は、同じ時間をかけても、室内と公園とでは質が変わってきます。
風の通り、光の移ろい、小鳥のさえずり、季節の花。これらは練習の邪魔になるものではなく、動きながら周りを感じ取る練習そのものです。当会が太極拳や八卦掌を通して目指している「天人合一」は、こうした公園の時間から始まると考えています。
公園練習は続く
公園は無料で、朝でも夕方でも使え、15分でも練習になります。忙しい日々の中で練習を習慣にするには、これが一番の近道です。駅までの道の途中、買い物の帰り、休日の午前中。「公園に寄る」が生活の中に入ると、練習は特別なことではなくなります。
同じ場所で練習を続けていると、梅、桜、新緑、紅葉と季節が巡ります。去年この木の下で練習していた自分と、今年の自分を比べられるのも、公園ならではの楽しみです。
公園練習デビューのコツ
はじめは仲間と一緒に行くか、まず公園を散策して、気に入った木陰を一つ見つけるところから始めるのがおすすめです。人目が気になる方は、広場の中央よりも周辺の木陰で、基本功だけを短い時間から。慣れてくると、周りの人は意外と気にしていないことが分かってきます。
気をつけたいことも少しだけ。初夏から秋は蚊とスズメバチ、荷物はカラスに注意です。早朝や夜に一人で練習するのは安全面から避け、明るい時間帯に。吉祥寺・三鷹周辺の練習しやすい公園は「おすすめ練習スポット」に一つずつ書いていますので、ご自宅や職場に近い所から試してみてください。
今週、晴れた日に一度だけ、近くの公園の木陰に立って站椿功を5分。それが公園練習デビューです。

