華佗五禽戯 第五十六代継承者

譚継林たんけいりん

1896–1975年。
安徽省亳州、魏崗鎮前譚楼生まれ。

王乃普から華佗五禽戯を受け継ぎ、五禽戯と武術を董文煥や劉時栄らに伝えた。正義感の強い人柄で淮北地方に名を知られ、「譚大侠」と呼ばれたと伝わる。

王乃普のもとで学んだ五禽戯と武術

伝えられる経歴によれば、譚継林は幼い頃に体が弱く、親戚の王乃普から五禽戯を学んだ。王乃普は清末の毅軍で五営を率いた人物で、華佗五禽戯の系譜では第五十五代に数えられる。譚継林の聡明さを認め、自らの教えを伝えたという。

譚継林は王乃普のもとで軍務に就き、武術隊にも所属した。軍の武術教官を務めていた馬登雲から少林拳と器械法を学び、さらに方朝正に師事して五音八卦拳を修めた。形意拳の第八代継承者としても紹介されている。

1923年には軍を離れて故郷に戻り、身に付けた武術と華佗五禽戯を弟子たちに伝えたとされる。

董文煥と劉時栄へ伝えたもの

弟子の董文煥は十五歳で譚継林に師事した。中国非物質文化遺産網の人物紹介には、十年間にわたり五禽戯・形意拳・太極拳・八卦掌と、三十数種の器械套路を学んだと記されている。五禽戯に加え、幅広い拳術と武器の扱いを伝える師だった。

劉時栄も譚継林から五禽戯・形意拳・太極拳や長短の器械を学んだ。弟子たちは、それぞれの指導や研究、著述を通じて亳州の五禽戯を次の世代へ伝えていった。

暮らしの中にあった師弟の交流

後年の紹介記事には、譚継林が董文煥の家の近くに暮らし、ともに布の商いをしたという話が残る。師弟の付き合いは、武術を学ぶ時間だけに限らなかった。

煙草や茶を口にせず、沸かした水を飲んでいたとも伝えられる。「譚大侠」と呼ばれた武術家の、日常の一面を伝える逸話である。