自然に練習できる環境

八卦掌練習後の立ち方の確認|八卦掌あるある
公園練習帰りのバス待ち時間も自然に練習

世界中で中国武術の鍛錬や愛好がされていることから「カンフーライフは場所を選ばない」と言いたいところですが、精神も身体もそれほど強くない(むしろ軟弱な)私にとって、環境がいかに重要であるか思い知らされました。

「中国功夫は公園から生まれる(中国功夫出公园)」という言葉があります。ここ数年、カンフーライフとサラリーマンライフの両立を目指し、「通勤に便利で公園が近い場所」を求めて何か所か引っ越してみました。しかし、「公園は近いが駅まで遠い」あるいは「会社には近いが公園が遠い」といった具合で、選んだ環境で練習を習慣化させようと努力しましたが、なかなか思うようにはいきませんでした。

自分に適した環境に身を置くこと

今年(2023年)になって、吉祥寺・三鷹の井の頭公園周辺エリア(武蔵野の森と呼ばれる地域)に戻ってきたのですが、ようやく「ああ、ここなんだ」と肌で感じることができました。この場所にたどり着くまで何度も引っ越しを重ねましたが、この場所こそが自分にとって最適なエリアだったようです。

中国武術の老師方は「寸暇を惜しんで練習せよ(抓紧时间下功夫)」と弟子に言い聞かせるそうです。私も「朝練をすれば一日が充実し、気力と体力が増して会社での疲れも残りにくい」ということは十分理解しているのですが、早起きが苦手で実行できずにいました。しかし最近では、自然と早く目覚めるようになり、気候の良い時期は井の頭公園で練習をしてから出勤できるようになりました。このように心と体が自然と動くようになったことは、本当に嬉しい変化です。

意気込みだけではどうにもならない部分を、自然や街、歴史や文化、人々の雰囲気などが補ってくれているのだと思います。

すべてのものは一体

何世代か前の中国武術の老師方は、気に入った公園や特別な場所で鍛錬を積まれていたそうです。先師におかれてもそうなので、功夫も境地も遠く及ばない自分にとってはなおのこと、自然に練習できる環境や場所が必要なのだと思います。

中国武術は、中国の大地、歴史、思想、文化、そしてそこに生きる人々という大きな「環境」があってこそ生まれ、発展してきたのです。だからこそ、これが正しい理解なのではないかと考えています。

吉祥寺・三鷹エリアを中心として、日帰り可能な公園まで、太極拳や八卦掌の練習に適したスポットを「おすすめ練習スポット」として紹介しています。実地での練習体験に基づく個人的感想ですが、ご参考にしていただければ幸いです。

この記事を書いた人

吉祥寺カンフーライフ代表/指導員
青森県出身。東京大学教育学部卒。
一般企業に就職したしたものの行政書士試験合格を機に退職し、東京大学大学院で中国教育行政史を研究。その後、教育法務や企業法務に携わりながら中国思想を学ぶ。
40歳を過ぎて中国武術の論理的な学習法に出会ったことでカンフーライフに目覚める。初心者でもわかりやすい指導法が得意。

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