体験談・動脈硬化とカンフーライフ

体験談・動脈硬化とカンフーライフ

吉祥寺に戻って会を再始動してから、早くも2年が経ちました。真冬の寒波や真夏の猛暑など厳しい天候の時期もありましたが、井の頭公園の豊かな自然に囲まれながら、今日も忙しい合間を見つけては練習に励んでいます。

動脈硬化症を宣告された10年前

私は46歳の頃、当会の八卦掌クラスを受講したことがきっかけで中国武術を本気で学んでみようと決意し、当時募集していた專門コースに志望しました。

そのことがきっかけで、長年放置していた脂質異常症の検査を受けたところ、医師から進行した動脈硬化症と診断されました。

大学を卒業してから20年以上会社勤めに追われた半生を経て、第二の人生を歩もうと前向きな時期だったので「まさか」という思いと「なんとかなるさ」という楽観的な考えで不安をもみ消そうとしました。

すでに30代半ばから健康診断でコレステロール値が高いと指摘されていたのですが、両親が脂質異常症(高脂血症)で長年に渡り服薬していたので「遺伝だから仕方がない、それに両親とも70歳を過ぎても健在なのだから大丈夫だろう」と、食事や運動などの生活改善に全く見向きもしませんでした。

当会に入会した直後から、横山会長には「適切な食事習慣や最低限必要な休息などができていない」と何度も指摘されていました。しかし当時の私は太極拳や八卦掌の練習だけで十分対応できているだろうとやはり楽観的に受け止めて、「食事療法をしてまで長生きしなくたっていい」といった無責任な考え方で日々を過ごしていました。

担当医から精密検査を勧められ頸動脈エコーを撮影したところ、進行した血管プラークが見つかり「どうしてこうなるまで放っておいたのですか、進行した動脈硬化です」と改めて告げられ、今からできることはないかと尋ねると「生活習慣を改善すること、そして大切な人のために生命保険に入ることぐらいです」との厳しい返答でした。

目の前が真っ暗になり、その日の病院からの帰り道はほとんど覚えていません。しかし、これが長年放置していた自分自身が招いた結果なんだということは理解できました。

血管プラークとは

血管プラークとは血管内に悪玉コレステロールが蓄積することで形成されるコブのような塊で、血管を狭くし動脈硬化の原因になります。また動脈硬化症は「サイレントキラー」という別名を持ち、自覚症状がないまま静かに進行して、ある日突然、命に関わる脳梗塞や心筋梗塞を発症します。

私の場合、東京都内の会社に通勤していたため、万が一倒れても早期発見と病院搬送される可能性が高く、それよりも命を取り留めた後の後遺症が心配でした。

カンフーライフで血管ケアに取り組んだ

「食事療法をしてまで長生きしなくたっていい」などという幼稚な考えは消し飛び、せっかく学びたかった八卦掌に出会ったのだから、残りの人生は自分の体を大切にしようと決心し、食事療法と運動療法に取り組み始めました。

医師から毎日30分以上の有酸素運動とストレッチを勧められていたので、ストレッチ効果の高い八卦掌の基本功と、一回15分かかる陳式太極拳の老架一路を2回通すことを日課にしようと決めました。

しかし、意外なことに食事療法はそれほど苦にならず、むしろ中医学の考えに基づいた食事療法を実践することは、生活の楽しみにすらなったのですが(私はもともと食にあまり興味がなかったのですが、今では反動で食べ歩きが趣味になっています)。一方で、本命のはずだった運動療法にはかなり苦戦しました。食事は空腹感という自然なリマインダーがありますが、運動は一日抜いても即座に体調の変化を感じにくいため、忙しい日には後回しにしてしまうのです。

会社の繁忙期には疲労や焦り、運動不足による不安からメンタル不調に陥ることもありましたが、それでも週末に公園で太極拳や八卦掌で体を動かすと、気分も晴れて体も楽になりました。

決して意志が強いとは言えない私が、挫折せずに長期間体質改善に取り組めた理由は、好きな方法で食事療法と運動療法を実践できたこと、そして何より中国伝統の養生法が私の体質に合っていたということだと思います。

10年で血管プラークが縮小

そして約10年後、驚いたことに、通常は不可逆的とされる動脈硬化症の血管プラークが、定期検診で減少していることがわかりました。数値の改善はわずかでしたが、医師の話しでは一度できてしまった血管プラークは通常治らないので、10年間悪化させなかったことは凄いことなのだそうです。

50代も半ばになって、身体の健康状態が改善されるというのは精神的にも余裕が生まれますし、これからも好きなことに費やせるエネルギーがあると実感できることで、日々の生活に新しい活力が湧いてきます。このような充実した満足感は今まで経験したことがありませんでした。

目指せ血管年齢マイナス5歳

改善できて精神的余裕ができたからこそ思えることですが、動脈硬化は何も特別なことではなくて10代から少しずつ始まっているそうです。

ということは、私がこのまま血管プラークの進行を抑え続けていれば(縮小だってしているし)、数年後には実年齢が血管年齢を追い越すので、つまり年齢よりも血管の方が若くなる、ということなのでは!という新しい目標が見えてきました。

これからも、吉祥寺の街と武蔵野の森の中で、カンフーライフを続けていきたいと思っています。

目指せ血管年齢マイナス5歳!

この記事を書いた人

吉祥寺カンフーライフ代表/指導員
青森県出身。東京大学教育学部卒。
一般企業に就職したしたものの行政書士試験合格を機に退職し、東京大学大学院で中国教育行政史を研究。その後、教育法務や企業法務に携わりながら中国思想を学ぶ。
40歳を過ぎて中国武術の論理的な学習法に出会ったことでカンフーライフに目覚める。初心者でもわかりやすい指導法が得意。

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