花の数は減れども、その美しさは変わらず
昨年の春は、雨や寒気の影響で桜の開花時期にソメイヨシノがなかなか満開にならなかったのですが、今年は無事に咲き揃いました。
全国ニュースで報道されているように、近年の猛暑やソメイヨシノの老木化により、井の頭公園の桜も例外ではなく、花の数が減少しています。しかし、お花見客の幸せそうな様子を目にすると、私たち日本人にとって桜は「目で見るものというより心に咲くもの」だと感じずにはいられません。


私は人混みが好きなので、活気に満ちた井の頭公園を歩いていると心が躍ります。私自身は井の頭公園に特別な貢献をしているわけでもありませんし、ただの井の頭公園を愛する通行人にすぎませんが、桜に見とれて歓声を上げる外国人観光客や、背を伸ばしてスマホで桜の写真を撮る人々を見かけると、なんだか誇らしい気持ちになります。
開花直後は白い

無学な私が綴るこの井の頭公園だよりの「今年初めて知ったこと」シリーズですが、今月は開花直後のソメイヨシノの花は白っぽい、とういことです。
愛機であるNikon Z30 で桜を撮影して液晶モニターで確認していると、花の中心が濃いピンクのものと薄緑のものがあるので、改めて調べてみたところ、ソメイヨシノのピンク色の色素は、アントシアニンという成分なのだそうです。開花直後の花の中心は薄いピンク色で花糸はほぼ白色ですが、時間の経過とともにアントシアニンの量が変化して、散る直前になると色素量が増加し、花びらの色が濃くなり、花糸も鮮やかな赤色へと変化するそうです。
つまり開花直後に慌ててお花見をしなくても、散る頃には気温も上がって過ごしやすく、花も美しいはず。ということで、来年はぜひ桜吹雪の頃にお花見を楽しもうと思います。
桜シーズンは公園練習はお休み
そして、私はこの時期に公園での練習がほぼできません。
理由は二つあります。一つは、過去に何度も、意気込んで公園へ出かけても、お花見の雰囲気に気を取られて集中できなかった経験から「桜の季節は素直にお花見を楽しむべき」という至極もっともな結論に至ったことと、もう一つは、飼い主さんとお散歩中のワンちゃんたちがあまりにも可愛くて、目が釘付けになってしまうからです。


飼い主さんが幸せそうだからワンちゃんも楽しそうなのか、それともワンちゃんが楽しそうだから飼い主さんも幸せそうなのか。どちらが先なのかは分かりませんが、通りすがりの私まで幸せな気分で満たされてしまい、とても練習をする気になれません。あー可愛い!
人生にひとときの休息を

どんなに落ち込んでいても、晴れた空や暖かな日差しに触れると、人は自然と幸せを感じられるものだと思います。
私は決してポジティブな性格ではないのですが、天気の良い日に公園の木漏れ日の下を歩いていると、この世界には本当の苦しみなんてないんじゃないか、と一瞬思えたりします。
中国武術の修練とは、このような安定した穏やかな精神状態を維持できる時間を、少しずつ長く持てるようになることが究極の目的だとも言えます。
練習をしなくても、心と体の力を抜いて気の赴くままに自然の中を歩くだけで、一瞬でもそういう気持ちになれるので、自然とは本当にありがたく、そのような瞬間に人は自然に生かされていることを実感できるのだと、2025年の桜を見て感じました。