雨さえも恋しく感じた梅雨

水滴を受けるアジサイ

今年の6月は梅雨らしい天気が少なく、一時は関東甲信の梅雨明けが7月7日になるという予想が出ていましたが、案の定アジサイが咲いたと思ったら連日の夏日となり、否応なしに長い夏を覚悟せざるを得ない気候となりました。

実際の梅雨明けは7月18日とほぼ例年通りだったのですが、6月下旬の時点で井の頭公園は既に夏。

残暑の影響で11月でも蚊がいることを考えると、年間通して公園練習が可能な期間は半年余りという絶望的な計算に、膝から崩れ落ちそうなほどショックを受けましたが、しかし事前に嫌な予感がしていたので、6月上旬の梅雨入り直後に「雨の日のアジサイ散策」に出かけていました。

公園練習が最高に気持ち良い新緑シーズンが過ぎたら、あっという間に夏だなんて嫌すぎます。

太極拳や八卦掌などの内家拳と呼ばれる中国武術は、梅雨のような湿度が高い条件下では思うように練習の効果を得られないのですが、これから迎える猛暑との長期戦を考えると、雨さえも恋しく感じます。

お気に入り雨宿りスポット

この日は三鷹駅から「風の散歩道」という玉川上水沿いの遊歩道を歩いて散策を始めました。

途中で咲いていたアジサイも綺麗でしたが、狭い歩道で傘をさしながらカメラを構えるのは通行人の邪魔になるので、まずは井の頭自然文化園の東屋を目指して歩きました。

井の頭公園は意外と広い公園なので、お気に入りのベンチや休憩スポットを中継地点として散策しないと、途中で疲れてしまって十分に満喫することができません。雨の日の私のお気に入り雨宿りスポットは有料(一般入園料400円)ですが、井の頭自然文化園の東屋(あずまや)です。

正門先の東屋(あずまや)

広い屋根と乾いたベンチは、公園練習愛好者にとってはまさにオアシスです。荷物を置いて軽いストレッチをしながら雨に濡れる緑を眺めていると、練習で得られる充実感とはまた別の安らぎがありました。

これまではあえて雨の日に公園に出かけようとは思わなかったのですが、今年は4月に桜の花をカメラで追いかけ、休む間もなく新緑シーズンを満喫していたので、雨がこれほど静かで優しいものだとは知らなかったと感動しました。

梅雨シーズンの井の頭文化園

特に、雨天の平日は来園者が少なく静かな時間を過ごせるため穴場となります。私は年間パスポート(1,600円)を利用しているので、猛暑と蚊の襲来のないシーズンは散歩がてらぶらぶら歩きながら、季節と動物たちを眺めています。

園内の小動物たち

昨年6月にカメラ講座を受講して、やっと肉眼で見た景色に近い写真が撮れるようになったので、これからは少しずつ、心で感じた風景を写真で表現できるように精進したいと思っています。

井の頭公園のアジサイスポット

10年前と比べると、井の頭公園のアジサイはずいぶん減ってきているのですが、今年はよく観察してみると、まだまだアジサイが綺麗に咲いているスポットがいくつかありました。

七井橋と井の頭弁財天

まずは、定番の七井橋と井の頭弁財天。遊歩道沿いに咲いているので普通に歩いているだけでも眺めることができました。やっぱり水とアジサイは似合いますね。

日本庭園から続くアジサイロード

次に、今年発見した日本庭園から続くアジサイロード。メインの遊歩道から一本奥に入った道にあるため、少し見つけにくいかもしれません。

最近池の周りに幾つか造られた剪定枝槽(園内の樹木を剪定した枝や葉を貯めて腐葉土)も近くにあり、集められた枝葉の不思議な美しさと相まって、少し神秘的で小トトロが現れそうな趣がありました。

私の嫌な予感が的中して、この日を境に気温が急上昇し連日夏日となってしまったので、井の頭公園だより2年目にしてやっと見ることができた咲き始めのアジサイに、心踊る公園散策となりました。

咲き始めが美しい

番外編

井の頭文化園の正門を出て左側にある歩道橋に登ると、吉祥寺通りの井の頭公園側に少ないですがアジサイが咲いています。絶景というほどではないですが、高いところから見渡せることと、この先に三鷹の森ジブリ美術館があるので、横断歩道を渡るよりも少しだけ楽しい気分になれます。

私は高所恐怖症で、どんなに遠回りしても歩道橋は絶対に渡らないのですが、この歩道橋だけは渡れるので、なんとなく気場が良いんだろうな〜、と思っています。

そして、このあとグングン気温が上がり、6月末から7月にかけて二度も熱中症の症状に見舞われ体調を崩すことになってしまったのでした。

現在、新たな視点で夏の過ごし方を模索しているところです。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)