ハイナン焼きショーロンポーの薬膳カレー

武蔵境 ハイナン焼きショーロンポー「薬膳カレー」

店主の優しさが嬉しい名店

『ハイナン焼きショーロンポー』(店名です)は、武蔵境駅北口から徒歩約5分、飲食店等で賑わう通称「すきっぷ通り商店街」を抜けると交差点を挟んでいきなり目に飛び込んでくる”薬膳スープ”の文字が目印です。一見してラーメン屋の佇まいのこのお店こそ、薬膳カレー・スープと焼きショーロンポーで人気のお店です。

メニューは、薬膳カレー(ビーガン対応もあります)、薬膳スープ、焼きショーロンポー(3種あります)の3本柱で、この3種をどう選び組み合わせるかが悩みどころですが、個人的にはセットで全ていただくのがお勧めです(空腹の度合いにもよります)

店内の様子が外からは容易に窺えないので最初こそドキドキしますが、ひとたび店内に入れば不思議と時間の流れもゆっくりに感じられ穏やかな心持ちになります。

ハイナン焼きショーロンポーさんは、ファストフード店ではないため注文から食事の提供まで少し待ち時間があります。まずはお冷や代わりの「薬膳茶」をいただきながら、心持ちが次第に整っていくのを愉しみます。時折、常連客のような方がふらっと訪れ、ゆったり食事を楽しんだ後に、またふらっとどこかへ出掛けていく様子を見かけると、言葉を交わさなくとも「何か同じような気持ちで寛ぎにきたんだろうな」と愉快な気分になります。

さていよいよ実食ですが、17種類の生薬と野菜を煮込んだという薬膳スープは、松の実とクコの実が目にも美しく一口飲めば染み入るような美味しさです。薬膳カレーは、トッピングされた色とりどりの野菜と濃厚なカレーがリッチで美味しく食べやすく「薬膳は健康にはいいが味はイマイチ」という先入観を根底から覆してくれます。店名にもなっている焼きショーロンポーは一般的な「小籠包」とは異なり包子(パオズ)に近い味わいですが脂っこさがなくて食べやすく、中華まん好きの私が病みつきになる美味しさです。

私自身は中医薬膳について経験も知識も乏しいので、「美味しい!」「これは効く(気がする)!」という稚拙なコメントになってしまいましたが、本場中国で薬膳の味と効果を実体験してきた横山春光会長も「これは効く!」と言うほどの本格的な薬膳だそうです。店主の方が長年にわたって研究を重ねてこられた賜物だと頭が下がります。

食後に「甘茶」もいただき余韻を堪能してからお店をゆっくり後にするのですが、これは中国武術の練習の最後にしっかり「収功」するのと同様で、心身ともに充実した気持ちになれます。

なお、焼きショーロンポー・薬膳ビギナーの方には、店主の方が食べ方や効能を優しく教えてくださいます。味と効能だけでなく店主の方の優しさも嬉しい武蔵境エリアの隠れた名店です。

焼きショーロンポーは冷めても美味しい

武蔵境駅から「すきっぷ通り商店街」を抜けて、ハイナン焼きショーロンポーさんの脇を通り抜けて北上すると、10分ほどで玉川上水に突き当たります。ここは国木田独歩が友人と訪れたという「桜橋」で、近くには「独歩の森」と呼ばれる練習スポットとしても適した公園があります。

ハイナン焼きショーロンポーさんは、「独歩の森」で練習する際の練習後や休憩中の「練習メシ」としてもお勧めなのですが、焼きショーロンポーはテイクアウトも可能でかつ(本来は温めて食べるべきところですが)冷めても美味しいので、周辺に売店がない「独歩の森」では、練習中の行動食としても利用できるのもグッドポイントです。

武蔵境北側エリアは、小金井公園と井の頭公園をつなぐ中間エリアで大きな公園こそありませんが、今から140年前の国木田独歩のように武蔵野の自然と街と人を感じながら散策した後、お店に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ギャラリー

お店情報

店 名ハイナン焼きショーロンポー
ジャンル薬膳・カレー
所 在 地東京都武蔵野市境2-3-1
アクセス武蔵境駅徒歩約5分
URLhttps://tabelog.com/tokyo/A1320/A132003/13136803/ ※食べログ

※記事の内容は執筆時のものです

この記事を書いた人

吉祥寺カンフーライフ代表/指導員
青森県出身。東京大学教育学部卒。
一般企業に就職したしたものの行政書士試験合格を機に退職し、東京大学大学院で中国教育行政史を研究。その後、教育法務や企業法務に携わりながら中国思想を学ぶ。
40歳を過ぎて中国武術の論理的な学習法に出会ったことでカンフーライフに目覚める。初心者でもわかりやすい指導法が得意。

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