太極拳との出会いを大切にする授業
年末年始の慌ただしさも少し落ち着いたと思ったら、インフルエンザが大流行している1月ですが、陳式太極拳基礎クラスでは、受講生それぞが自分の目標を持ってマイペースで練習に取り組んでいます。
この記事を書いた人
吉祥寺カンフーライフ代表/指導員
太極拳を初めて学ぶ方を対象にした授業は、基礎となる型や動作を学びながら、同時に皆さんの「太極拳を学びたいと思った動機」を大切に考えています。
太極拳は正しい練習方法さえ身につけてしまえば、一生涯「いつでも、どこでも」自分の心と体をメンテナンスすることができる中国で生まれた鍛錬方法ですが、最初の段階で心地よさや面白さが感じられないと、せっかくチャレンジしたのに挫折してしまった、と残念な結果になってしまいかねないので、当会では太極拳との出会いを大切にする授業を心掛けています。
正しい太極拳をじっくりと
陳式太極拳基礎クラスの受講生は、受講時期も受講動機もまちまちですが、横山春光会長が中国河南省の「陳家溝太極拳館」で学んでいた授業そのままの練習メニューで学習に取り組んでいます。
①準備運動
以下の身体の18箇所の可動部分を順番に動かします。
両肩・両肘・両手首・両胯(股関節)・両膝・両足首・両腎・首・胸・腰・腹(計18)
それぞれの箇所をゆっくりと円運動で緩めていくので、誰でも安全に深いウォーミングアップができます。
②基礎となる円運動
日本の太極拳教室ではあまり普及していませんが「纏絲勁」(てんしけい)と呼ばれる伝統太極拳の基礎となる円運動を行います。
デスクワークや運動不足で弱った足腰を無理なく鍛えながら、上半身をスムーズに動かせるようになるための大切な基礎練習です。
③套路(型)
入門用套路の陳式太極拳精要18式を学びながら、正確な動作から生まれる太極拳本来の健康効果を体得していきます。
この套路は陳式太極拳の正統継承者である陳正雷老師が考案したもので、伝統套路である老架一路(74式)から 難解な動作を省き、より基礎の体力作りに特化した動作を選出して再編成された套路です。
2024年4月に開講してから夏頃までは、「正しい姿勢」「太極拳の身体の使い方」の説明に多くの時間を割いていましたが、開講10か月を迎えて、受講生も徐々に増え套路(型)も全員である程度通せるほどになってきたので、いよいよ本格的な授業スタイルになってきました。
少人数でじっくり説明や基礎動作から学ぶことも大切ですが、グループで何度も繰り返し動作を反復する練習は、肝心の脚力作りや動作を覚えることに大きなメリットがあるので、正しい太極拳にじっくりと取り組める体制が更に整ってきたと思います。
習うだけではなく自ら学ぶ太極拳
横山会長は26歳の頃にフルタイムのデスクワークで心身の限界を感じて、東京都内の太極拳教室に通ったことが太極拳との出会いだったそうですが、それまで運動の経験がなかったことや、触れたことのない言葉や価値観に戸惑ったそうです。そこから禅の修行道場や中国留学の経験を経て、最終的には「太極拳を学び始めたばかりの頃の自分に手を差し伸べられる指導でなければダメだ」という考え方が確立したそうです。
その思いが指導に反映していて、授業中はよくご自身の当時の体験談を等身大でお話しされます。その積み重ねが受講生の動機と重なる瞬間があり、少しずつ受講生の意識が「習うだけではなく自ら学ぶ太極拳」に変化していくのを感じることがあります。
「太極拳を学びたい」と思い立ったときが一番良い時期である、と思いますが、当会の「陳式太極拳 基礎クラス」は太極拳の出会いの場として自信を持って、将来の自分のために正しく学ぶ方法を知ることができるお勧めのクラスだと思います。