公園練習のススメ

田中稜月ブログ「公園練習のススメ」

「天下功夫出公园」

中国では「天下功夫出公园」(天下の功夫は公園から生まれる)という言葉が示すように、太極拳などの中国武術は公園をはじめとする自然の中で練習を重ねることが不可欠とされています。近年の日本の気候事情を考えると、年間を通じての屋外練習の継続は容易ではありませんが、自然の中での練習には室内では得られない特別な充実感と効果があるため、当会では公園での練習を推奨しています。

とはいえ、私自身もそうでしたが、最初の頃は「どういう場所で、どのような練習をすればいいのだろう?」「誰かに声をかけられたらどうしよう」といった不安を抱えていました。

私の場合、本格的な公園練習デビューは、横山春光会長から小金井公園で八卦掌を指導いただいたことがきっかけでしたが、個人で練習する場合には、自分自身で練習スポットを見つけなければなりません。行ったことのある公園や地図で見つけた公園を巡り、練習できそうな場所を探して実際に試してみる、という体験を繰り返すうちに、次第に練習に適したスポットを見つけられるようになりました。それでも「練習に適した公園を誰かに紹介してもらえたらいいのに」と常々思っていました。

しかし当然ですが、誰も中国武術の練習に適した公園や練習スポットを紹介してはくれません。「それなら、自分で紹介しよう」と思い立ち、「おすすめ練習スポット」として、吉祥寺・三鷹エリア周辺の公園を中心に、太極拳や八卦掌の練習に適したスポットや練習内容をブログで紹介することにしました。

それぞれの「おすすめ練習スポット」は、私自身が何度も練習を重ねた経験から得た情報に基づいていますので、個人的な感覚や感想ではありますが、これから公園での練習を始めたい方々の参考になれば幸いです。

自然と波長を合わせる

公園練習のもう一つの大きな問題は、「練習に集中できない」問題です。この「集中できない」には二種類あるようです。

一つ目は「人の目が気になる」で、これへの対処法として最初は複数人で公園練習してみるのが良いでしょう。早朝や夜間など、人が来ない時間帯を選ぶ方法もありますが、安全面で不安があるので独りでは避けた方がいいです。また、「ジロジロ見られる」「しつこく声を掛けられる」などへの予防としても複数人で練習するのが効果的です。

もう一つは「なぜか落ち着かない」です。この問題には、まず公園の空気に馴染んでみることが有効な対処になります。その日の気象や自分自身の状態を観察するために、すぐに練習を始めないで散策したりベンチで寛ぐのがおすすめです。練習に適した公園は、どれも公園の入口から練習スポットまで少し距離があり、ベンチも設置されているので、公園の空気と波長を合わせることがしやすいです。

ちょっと時間を取ってみたものの、何となく落ち着いて練習できない、という場合は「練習に適さない気象状況」か「自分自身が練習できるコンディションにない」かのいずれかであることがほとんどです。そんな時は無理に練習しようとせず、公園を散策するのに止めるのが良いでしょう。散策するだけでも、そこそこの運動量があるので、消耗してまで無理に練習することはありません。長く継続できてこそ、カンフーライフだと考えています。

散策での出会いも楽しい

現代日本の多忙な日々の中で公園練習の時間を捻出することは大変ですが、あえて「すぐに練習しないで散策してみる」と身近な公園でも、新しい出会いに驚かされることがあります。

下の写真は小金井公園で撮影したものですが、何年も練習に通っている公園にも関わらず初めて見る幻想的な光景でした(オオバベニガシワという植物を初めて知りました)

当会では、武蔵野の自然を感じながら太極拳や八卦掌を通じて天人合一の境地を学んでいます。「自然と波長を合わせる」ことはカンフーライフへの第一歩ですが、こんな予期せぬご褒美もあるので止められません。

田中稜月とオオバベニガシワ
雨上がりのオオバベニガシワ

この記事を書いた人

吉祥寺カンフーライフ代表/指導員
青森県出身。東京大学教育学部卒。
一般企業に就職したしたものの行政書士試験合格を機に退職し、東京大学大学院で中国教育行政史を研究。その後、教育法務や企業法務に携わりながら中国思想を学ぶ。
40歳を過ぎて中国武術の論理的な学習法に出会ったことでカンフーライフに目覚める。初心者でもわかりやすい指導法が得意。