今年の2月は気温が低く、梅の花がなかなか満開にならないなと思っていたら、あっという間に3月に入り、井の頭公園で最も開花の早い西園の河津桜が咲き始めました。
昨年の3月は連日の強風で、せっかく早咲きの桜が咲いたというのにほとんど公園練習ができなかったのですが、今年は風も雨も少なく、快適な公園カンフーライフを満喫できました。
桜の写真を撮っていると、一心不乱に蜜を吸う愛らしい姿のメジロをよく見かけますが、今年私が気になったのはヒヨドリです。

ヒヨドリは中型の留鳥で鳴き声も大きく(ヒーヨ!ヒーヨ!と鳴くからヒヨドリだとか)、飛び方も力強いので見つけやすい鳥です。
メジロとは違い、縄張り意識が強く他の鳥を追い払ったりしているので、喧嘩っ早い鳥だなぁ〜と思って見ていると、頭部の羽毛がボサボサだったり、小首を傾げながらクリクリの目で周囲を見回したりする姿が、生態に反して意外と可愛くも思えます。

昨年、井の頭自然文化園で購入した『井の頭公園いきもの図鑑』によると、ヒヨドリは雑食の大食漢で、他の鳥が食べない植物でもどんどん食べるそうです。
身近な鳥でさえ知らないことがたくさんあるものだと感心していたところ、ふと思い出して2月に行った新宿御苑の温室で撮影した写真を探してみたら、いましたヒヨドリ!
フワフワしたわたあめのようなマメ科の植物の花を、むしゃむしゃ食べていた印象的な鳥がヒヨドリでした。


さすが由緒正しい新宿御苑の温室内だからなのか、それとも入園者のマナーが良いせいか、その中型の鳥は警戒心をまったく見せず、私の目と鼻の先で豪快に花を貪り食べていました。その迫力に思わず悲鳴を上げそうになったので強く記憶に残っています。
現生生物の中で恐竜を祖先種にもつ唯一の分類群が鳥類というのは、まさに納得できる事実です(当会の田中代表がよく語っている)
この井の頭公園レポートを書き始めて2回目の春ですが、初めは楽しく書けるに違いないと思っていたのに、書き始めると今までいかに自分が無学であったかを思い知るばかりで、挫折しそうな気分になることもありました。
私は高校を卒業するまでは宮崎県の過疎地域の山育ちだったので、自然に対して幼い頃から理解と畏敬の念があると思い込んでいたのですが、それが恥ずかしく思えるほど自分が無知で、それに反して日本の自然がいかに豊かで多様であるかを痛感しています。
それでも毎月書き続けていくうちに、一つの鳥の名前を知る、そしてまた一つ植物の名前を知る、と繰り返すことで学ぶ楽しさを感じられるようになり、自分の生活が以前より豊かになったと感じられるようになりました。


3月は、本拠地である井の頭公園をはじめ、新宿御苑、神代植物公園、小金井公園など各所を訪れて春を満喫しましたが、どの公園も保全が行き届いていて都民の公園への深い愛をひしひしと感じます。
今年は会員限定になりますが、都内の公園で華佗五禽戯という動物の動きを模範する中国最古の気功法イベントを実施する予定です。
場所が公園ということもありますので、教えるだけでなく、自分自身も公園の自然や参加者の皆様から様々なことを学べることを楽しみにしています。