野鳥の子育てシーズン

6月の井の頭公園は動物も植物も生命力に溢れていました。毎年6月になると井の頭池に架かる七井橋からカイツブリの子育てが間近で観察できます。

爽やかだった5月が早くも恋しくなるほど蒸し暑い日もありましたが、木陰のない橋を渡っていても何処かから「ヒヨヒヨ、ヒヨヒヨ」という雛鳥の鳴き声が聴こえてくるので、水辺の涼と生命のエネルギーを感じて思わず立ち止まってカメラを向けることもありました。

大抵そういう素敵なタイミングに出会うと、私だではなく同じようにカメラを持った人たちが自然に集まり、横並びになってしばらくの間シャッターを切るので、言葉は交わさずとも共感できたような気がして嬉しい気持ちになります。

カイツブリの子育て風景

親鳥から離れられない雛
片時も親鳥から離れられない雛鳥
家族でプカッと浮いて休憩中

豊かな樹々に恵まれて木陰は涼しい

クルクルと伸びる巻きひげ
井の頭弁財天様にいつも見守られています

他にも七井橋の近くではカワウたちが樹の上に巣を作って子育てをしていたり、小さな野鳥が雛に食べさせる虫を探して飛び回っていたりするので、鳥たちの賑やかなさえずりを聴きながら池の周辺を散歩していると、とても贅沢な気分に浸れます。

私は太極拳や八卦掌の影響で自然界の螺旋の形を観察するのが好きなので、井の頭公園に多く生息しているつる植物を観察するのが趣味なのですが、今年は野草やアジサイの花が綺麗に咲いたので、あれもこれもと見所がたくさんあって肝心の公園練習に取り組むのに苦労しました。

生命が溢れているといいうことは歓迎できない蚊も発生しているということなので(蜂もいます、なぜか蜂は私目掛けて飛んで来ます)、公園内は決して快適というわけではないのですが、当会では6月から受講生のための練習用動画作成を始めたので、代表と共に虫たちに苦戦しながら公園内を転々と移動しました。

昨年からタイトルを変えながら少しずつ書き始めたこの「井の頭公園だより」ですが、今まで10年以上もの間、深く考えずに練習したり散歩したりするだけだったことに気がつきました。井の頭公園や武蔵野の森を愛する気持ちは変わりませんが、植物の名前をひとつ知るたびに、またひとつ自然に近づけたような気持ちになることは新しい発見でした。

練習を通じて天人合一の境地を目指すのが中国武術の目的ですが、自分が生活している環境を知ることもまた重要な学びだと改めて実感した6月でした。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

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