50年の歴史を持つ隠れた人気スポット
吉祥寺唯一の百貨店の屋上に「太陽の広場」があります。
「太陽の広場」という名称は、1974年の開店当初からずっと変わっていないそうですが、2010年代はまだ寂れた屋上遊園地とペットショップがあり、平日はなんとも言えないノスタルジックな雰囲気を醸し出していました。
その後、大改装を経て2021年1月に人工芝の広々として清潔な憩の広場に生まれ変わり、現在は親子連れや地元の人々だけでなく、イベント開催時には遠方からの来場者で賑わう場所となっています。
しかし、改装以前はまったく異なる雰囲気でした。
週末と平日のギャップに癒される
のんびりとした時間を過ごすお年寄りや、ワンちゃんのトリミングに来ている飼い主さんたちは安心して見ていられるのですが、スーツ姿でベンチに座り一点を見つめるサラリーマン風の男性や、空の缶コーヒーを握っていつまでも呆然としている大学生風の男性など、訳ありそうな大人たち(自分を含む)が、決して共有できそうにない世界に閉じ込められいている閉塞感を漂わせる雰囲気は、ミックスカルチャーの街である吉祥寺の中でも特異な場所でした。
そして、その雰囲気にさらに追い討ちをかけていたのが、ペットショップの小さなケースの中で、飼い主に出会えず大きく育ってしまったワンちゃんやウサギさんなどの、小動物たちの悲しげな瞳でした。
かくいう私も、武術教室以外の仕事をしていなかったので、うまくいかないときや、悩みすぎて心身を病んでしまったとき、はたまた大怪我と大手術をしてリハビリをしていた時期などに、この場所を訪れていました。
抜け殻のようにベンチに座っていると、まったく知らない年配の女性に優しく話しかけてもらったり、雨上がりの空に奇跡の虹であるダブルレインボーを見つけたり、何の脈絡もなく朗報が入ったり、いいことが何も起こらなかった日でも何となく気分が前向きになれたり、という不思議な場所でした。
落ち込んでいるときこそ井の頭公園の緑に癒されればいいような気がするのですが、スワンボート乗り場を中心として放たれるハッピーなオーラに包まれた陽キャな井の頭公園より、一番空に近くて現役で働いている人のいない東急百貨店の屋上の方が落ち着くのです。
現在は、別人レベルで生まれ変わった「太陽の広場」ですが、どんなに陽キャを装おうが、築50年を過ぎた平日のデパートの屋上という場所は、やはり我々のようなあまりコミュニケーションを得意としない不器用な人間が引き寄せられ、時間を忘れて妙に落ち着く場所には違いないのです。
100%主観しかない私の偏愛ですが、本当に良い場所なので興味のある方はぜひ訪れてみてください。
週末も普通に楽しめる
大改装後の広場は、鮮やかなグリーンの人工芝が美しく、遠くの山々まで一望できる展望の良さを存分に生かした開放感のある空間に生まれ変わったので、もちろん週末・平日を問わず普通に楽しめます。
人工芝は掃除が行き届いているので、シートなしでも気軽に寝転べます。ベンチもたくさんありますし、飲料や食品の自動販売機やゴミ箱、トイレも充実していて、おまけに天気が良ければ富士山も見えますし、吉祥寺観音様にも見守っていただけます。
吉祥寺に遊びに来たけど、なんだか疲れたなー、今日は遊ぶ気にならないなぁ、せっかく来たのに帰るのはもったいないなぁ、という気分になったら、ふとこの記事を思い出していただければと思います。
ギャラリー
施設情報
名 称 | 太陽の広場(東急百貨店 吉祥寺店 屋上) |
所 在 地 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-3-1 |
アクセス | 吉祥寺駅から徒歩約7分 |
URL | https://www.tokyu-dept.co.jp/kichijouji/index.html |
※記事の内容は執筆時のものです