氷水を飲まない

氷水

私は28歳で中国北京へ武術留学する以前、「氷水」いわゆるお冷が大好きでした。

自宅でも外食でも、とにかく冷えた飲み物が好きでご飯でも麺類でも食事のお供にお冷をガブガブ飲んでいましたし、お酒を飲む席ではキンキンに冷えたジョッキに注がれた生ビールが美味しいと思っていました。

ところが北京へ渡った直後、食事中に冷たい水を飲んでいたら混元太極拳の武館の老師や学生の方々にこっぴどく叱られました。

まず「胃を冷やしてはいけない」それから「食後に胃液を薄めてはいけない」、「そんなことを常習的にしているから身体が虚弱で功夫(中国武術の実力)が身に付かないんだ」と、何度も注意されました。

そもそも中国には氷水がありません、ビールも常温で飲むのが普通で、冷えたビールは外国人用に置いてあるだけで現地の人は飲みません。

そう言われればその通りだと思ったのですが、日本人の私からすると熱々の料理と冷たい飲料は食事の楽しみだという思い込みがあったので、なかなか受け入れられませんでした。

しかし慣れてみると不思議なことに胃の調子がみるみる良くなり、1年ほどで体力も筋力もきちんと練習量に比例してつくようになりました。

帰国してからは異常気象と地球温暖化で東京の夏は熱中症のリスクが高まっていたので、猛暑日の練習後などには嗜好品として冷たい飲み物を口にするときもありますが、基本的には今でも氷水は飲みません。

中国ではコーラなどの炭酸飲料も、冷やしたり氷を入れたりせず常温で飲むのが常識です。

マクドナルドやケンタッキーには氷入りの飲料が売られていますが、ドリンクメニューには「ホット豆乳」など日本にはない温かい飲み物が必ずあります。

難しい中医学や薬膳を勉強して実践するのはハードルが高いですが、①氷水を飲まない、②食事中に大量の水を飲まない、③飲み物はなるべく常温で飲む、ということなら簡単に無理なく取り入れていけると思います。

運動も大切ですが、胃や身体の負担を避け、正常な消化吸収でエネルギーを補給することも大切ですね。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

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