『黄帝内経』こうていだいけい 養生の智慧

『黄帝内経』(こうていだいけい)養生の智慧

中国における最も古い医学書で、戦国に書かれた中国伝統医学「四大古典医学書」の一つです。(黄帝内経、傷寒論、金匱要略、温病条辨)

春秋から戦国時期にかけての医療経験と学術理論を総括したもので、秦漢以前の天文学、数学、生物学、地理学、人類学、心理学を吸収し、またさらに陰陽、五行、天人合一の理論を運用した人体解剖、生理、病理と疾患に対する診断と治療、そして予防に関する全面的な陳述がされており、中医学の独特な理論体系を確立し、後に発展した中国医薬学理論の基礎となりました。

また、中国において初めて書かれた“養生書”でもあり、如何にして病気を治すか、という内容だけではなく、「如何に病気にならないか」「如何にして薬を飲まずに健康と長寿を実現できるか」という内容が書かれています。

『黄帝内経』の最も重要な思想とは、「治未病」(未病を治す)というもので、著書の中には「是故聖人不治已病治未病、不治已乱治未乱、此之謂也」という言葉があり、この意味は「名医とは病気を治すのではなく、病気にならないよう導く。また聡明な人とは、過ちを犯した人を諭すのではなく、過ちを犯す前に諭す」というものです。

『黄帝内経』の「内経」のとは“内求”という意味で、生命、健康、長寿とは外に求めるのではなく、自分自身の五臓六腑を内観し、気血がどのように流動しているかを感じ、内を鍛え、気と血を整え、経絡を通し、内側より健康と長寿を達成する、というものです。つまり黄帝内経とは、医療機器や生化学検査、解剖に頼らず、内観と体悟、そして人間に本来備わっている直感により、我々の生命の本質を知ることを目的とした理論と実践方法が記されている本なのです。

古代中国の著名な医師である「華佗」「張仲景」「孫思邈」「李時珍」などの人物が『黄帝内経』の影響を受け、これを研究し、後に歴史に残る名医となりました。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

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