「五労所傷」何事もほどほどが大切

「五労所傷」 久視、久卧、久坐、久立、久行

黄帝内経『素問』に「五労( ごろう)所傷」という教えがあります。

「久視傷血、久卧傷気、久座傷肉、久立傷骨、久行傷筋」

これは長時間に渡り同じ姿勢や運動を続けていると身体を傷めるという教えで、具体的には以下のような状況です。

久視傷血
人は長い時間、眼を久視(酷使)すると眼が疲れ、視力低下を引き起こします。また「眼」と「肝」は表裏一体の関係にある事から、肝臓と関係のある「血」を傷つけます。

久卧傷気
長時間、久卧(床に横になったまま)を続けて運動不足になると、気脈の流れが滞り、「肺」を傷つけます。

久座傷肉
運動をせず、久座(座りっぱなし)でいると、「肉」を痛めます。肉は「脾」の機能と関係があります。黄帝内経では、人は適度な運動を行わないと「脾湿」という状態になり、体が重く感じ、動くのが億劫になります。

久立傷骨
久立(立ちっぱなし)でいると、「骨」を痛めます。骨は「腎」と関係があります。そして腰痛の原因にもなります。

久行傷筋
長い時間歩き過ぎると「筋」(すじ)を痛めます。

健康維持の秘訣は『中庸思想』

デスクワークや立ちっぱなしの仕事をしたことがある方、また仕事以外の普段の生活でも一日中ゴロゴロしてスマホを見て過ごしてしまった、外出時に道に迷って長時間歩き回ったときなど、思い当たる症状があるのではないでしょうか?

そんなとき、「体調が優れないな、整えようかな」と漠然と考えるより、理論を知ってそれを補うように行動できたほうが良い習慣を身に付けるのに役立つと思います。

何事も中庸で「ほどほどに」が大切ですね。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

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