節分が過ぎて井の頭公園では梅の花がちらほら咲き始めましたが、梅が咲き始めるとあっという間に桜の季節、そして新緑の季節へと駆け足になってしまうので、個人的には八卦掌や太極拳の功夫を積むのに重要な季節である冬が一日でも長いといいな、と毎年この時期に惜しむ気持ちになります。
中国語で「不着急(ブージャオジー)」と言って、焦らずにゆったりと取り組むことが中国武術には必要なのですが、どうしても気が急いてしまうとき、井の頭池のほとりの水仙を見るとホッとします。
中国の国花は牡丹で、愛される理由の一つに「開花時期が長い」という特徴がありますが、水仙の開花時期も比較的長いので、中国武術と波長が合うのかもしれませんし、寒さの中でも強く成長していく姿は、年々短くなっていく冬の季節の本来のあり方をそれでも感じさせてくれる貴重な花です。
同じく井の頭池の南側にある紫陽花も梅雨の時期には美しいですが、ここ数年は空梅雨や季節外れの猛暑日のせいか、咲き誇る前に枯れてしまう様子をよくみかけるので、毎年変わらないペースで咲いている水仙は冬の公園練習の良いパートナーです。
中国から日本に帰国して足掛け12年間吉祥寺に住んでいますが、井の頭公園の自然環境もずいぶん変わりました。
人間だけでなく土も植物も動いているんだな、と思う今日この頃です。