中国で学んできた八卦掌と太極拳を通じて、人と街と自然と共に生きる喜びを感じながらカンフーライフを伝えていきたい。
会長 横山春光(Yokoyama Shunko)
1976年生まれ 宮崎県延岡市出身
5歳で「日本舞踊楳若流」を学び、高校卒業後は上京し独学でwebデザインの職に就く。
その後会社を辞め、中国武術の道に進む。2004年中国武術留学を開始。
2008年「日本中国伝統功夫研究会」を設立。太極拳、八卦掌、養生法の指導を務めている。
中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年
家庭と社会の機能不全に苦しんだ半生
私が高校を卒業した1994年頃は、就職氷河期と呼ばれ高度成長期(バブル経済)の破綻後に大きく経済が傾いた時代でした。
卒業するまでは母親が殆ど不在のシングルマザーの家庭で育ち、両親の愛情を知らないまま成長しましたが、社会に出ても高度成長モデルの中を生きた親世代の経験を生かせず、夢や目標を持ちづらいだけでなく、大きな落差と不安を感じながら20代を過ごしました。
「癒し」「スピリチュアル」という言葉が流行し、仕事を頑張っても豊かさを得られないのであれば、せめてプライベートを大切にしようという新しい考え方が生まれた時代でもありました。
26歳で務めていた会社を辞め、ちょうど高校を卒業してから10年後の28歳で中国へ渡り太極拳を学ぶ運命になったのは、それまでの半生と時代背景が大きく影響していたのかもしれません。
生き直した中国留学時代
私が中国に滞在した2004年から2010年の期間は、日本とは逆に中国の経済が急速に発展していた時期で、武術界は大いに盛り上がり賑わっていました。
同じ世代の中国人が夢や目標を持ち、自己実現のために一生懸命に生きている姿を見ながら共に切磋琢磨したことや、中国語を一から覚えていった過程では、失われた青春を過ごしながら20代後半で改めて子供時代の成長期を再体験することができました。
6年半の留学期間で心の闇も晴れ、身体も精神も強くたくましく変化し、生きる喜びで満ち溢れました。
日本と中国のギャップに苦しんだ日々
2010年に留学を終え帰国した後は、東京や神奈川で太極拳や八卦掌の教室を開講し指導に務めましたが、中国と日本の環境と考え方の違いに悩むようになりました。今となれば社会勉強が足りなかったのだと思いますが、当時は夢と希望に燃えていたので、伝えたいことが伝えられない日々のなかで徐々に心身のバランスを崩すようになり、ちょうどその頃、運悪く大怪我(頸椎脱臼骨折)をしたことが重なり、2018年に普及活動を停止することになりました。
リハビリ期間
会の活動を停止した後は、いつのまにか飲むようになっていた抗不安薬を約3年かけて断薬しました。その後、怪我の後遺症もほぼなくなり、薬に頼らずとも穏やかに過ごせるまで回復した頃に、新型コロナウイルスが流行し、再び社会が一変しました。
活動を停止してからずっと「中国武術は現代を生きるために必須ではない」と思い込んでいましたが、外出や人との接触を避けなければならない生活が続いたとき、過去の教室活動で苦労したことは、実はとても幸せなことだったということに気づきました。
活動再開の決意
活動の拠点としていた吉祥寺を懐かしく思い、再び住居を移して間もなくすると、マスク着用義務が解除になりました。笑顔で街を歩く人々を見かけたとき、日本と中国の違いという自分の中のこだわりがなくなり、街と人と自然と共にささやかに生きる幸せを感じることができました。このことがきっかけで、活動再開を決意しました。
皆さまへのメッセージ
中国武術は健康、芸術、護身術だけではなく、私たち日本人の文化や習慣をより深く知る手掛かりにもなります。遠く海の向こうの大陸に、まだ知らない世界があり、そこで暮らす人々の知恵や技術があります。
一度身に付けてしまえば生涯に渡って失うことはなく、自分自身の財産になります。
特に太極拳や八卦掌、気功法といった内面を磨く鍛錬方法は、たとえ高齢になったとしても功夫を境地として高め続けることができるので、社会がどんなに変化しても変わらない恩恵を受けることができます。
武縁が繋がり共に練習できることを、心から楽しみにしています。
経歴
2002年 (26歳) | 東京都内の教室で「陳式太極拳」を学び始める。 |
2004年 (28歳) | 中国留学を開始。 陳式太極拳第十八代継承者、陳式心意混元太極拳の創始者である馮志強老師の「北京・志強武館」において、陳式心意混元太極拳第二代継承者 陳項老師より「陳式心意混元太極拳」「太極剣」「太極刀」「混元内功法」を学ぶ。 |
2005年 (29歳) | 河南省に渡り、河南中医学院に入学「経絡学」「針灸学」「按摩学」を学ぶ。 陳式太極拳第十九代継承者である陳正雷老師の「陳家溝太極拳館」におて「陳式太極拳」「陳式太極単剣」その他多数の套路を学ぶ。 中華武林百傑である伝統武術家の卜文德老師より、卜氏八卦掌と卜氏八卦鉞を学ぶ。 |
2006年 (30歳) | 安徽省亳州にて、華佗五禽戯第五十七代継承者 董文煥老師より「華佗五禽戯」を学ぶ。 |
2007年 (31歳) | 北京市の八卦掌第五代正統継承者である、麻林城老師に師事し、生涯をかけて「伝統程派八卦掌」を学んでゆくことを決意する。 |
2010年 (34歳) | 留学生活を修了。帰国後は東京と神奈川にて「太極拳」「八卦掌」の普及活動を開始する。 |
中国大会成績
2006年 | ≪中国陳家溝国際太極功夫精英賽≫ 陳式太極単剣 優勝 |
2007年 | ≪河南省鄭州市境外武術交流賽≫ 陳式太極拳 優勝 陳式太極単剣 優勝 |
2008年 | ≪中国焦作国際太極拳交流大賽≫ 陳式太極短器機伝統套路 第二位 |
2008年 | ≪陳家溝国際太極功夫精英賽≫ 伝統陳式太極拳 優勝 伝統規定太極拳 優勝 伝統陳式太極単剣 優勝 |
2008年 | ≪中国邯鄲国際太極拳運動大会≫ 伝統陳式太極単剣 二等賞 |
資格
中国武術段位「五段」
HSK(漢語水平考試)6級
河南中医学院職業按摩師 4級
メディア取材
2006年 | 読売新聞「美しさスキなし 太極拳、中国の大会で 金」 |
2007年 | 河南商報「春光的中国武術夢」 |
2010年 | 関口知宏のファーストジャパニーズ「中国武術 横山春光 中国・北京/鄭州」 |
2011年 | サンデー毎日「本当に充実した人生とは? 太極拳・八卦掌を伝える女性の流儀」 |
2012年 | 週間ゴルフダイジェスト「一瞬の体のバランス感覚を養う。そのためのゆっくりな動きなんです」 |