柔軟性アップの季節

カンフーライフブログ「柔軟性アップの季節」

今年の夏は連日のように世界的な異常気象のニュースが報じられていますが、井の頭公園も早朝から30度を超す日が増えてきて、さすがに公園練習も限界だと感じました。

数年前まではまだ、暑いよりも蚊に刺されるほうが辛かったのですが、蚊すら飛んでいません。

「夏を克服!」にも限界があるので、天気予報を確認して屋外での運動が危険な日は、室内でできるシンプルな基本練習に切り替えることにしました。

専門家曰く、異常気象が“異常”ではなく普通になってきてニューノーマル化しているそうなので、「来年の夏は今年よりマシかもしれない」と期待を持つことはもうやめたほうがよさそうです。

そもそも太極拳も八卦掌も北派武術に属し、皮膚と皮膚が触れ合う感覚ではなく、服と服が触れ合う感覚で練習するという特徴があるので、真夏の屋外はあまり練習に適していないと言えます。

ただ、何もできないという訳ではなく、気温が高い時期は身体が熱を逃がすために開いた状態になるので、柔軟性をアップしたり、深部の冷えを取ったりするのにはとても適しています。

屋外練習ができなかった日は、一日の終わりに自分の身体を内観する時間を作って、ゆっくり入浴した後にストレッチをすると睡眠の質の向上にも役立ちますし、なにより夏の柔軟運動は秋から春までの時期と比べると格段に効率がいいです。

中国武術界では「パンチ力を数キログラム増やすより、筋の柔軟性を数センチ伸ばした方が功夫が高まる」と言われていますし、ただでさえ人間も動物も年齢と共に身体が硬くなって動きにくくなるので、この時期を柔軟性向上に当てるのは、残りの季節(人生)を快適に過ごせる重要なポイントになると思います。

また、体力消耗の少ない微汗程度を意識した運動で、冬の間に溜まった冷えを出し切っておくことも、秋以降の体調管理には欠かせないことです。

ストレッチと発汗は相性が良いので、身体の熱を取ることと、冷えを取ることのバランスをとりながら、エアコンを上手に使用して、一生に一度しかない今年の夏を有意義に過ごしたいですね。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

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