本質的な美しさを感じる冬

1月の井の頭公園は暖かい日が続いていましたが、2月に入ると一転、気温が下がって真冬の寒さに凍える日々となりました。

寒い季節の公園を楽しむコツは、冬枯れによって広がる見晴らしの良い景色を眺めたり、花や動物が見せるシンプルで本質的な美しさを感じることだと思います。

井の頭池には多くの種類の野鳥が生息しているのですが、その中でも大型のゴイサギは常緑樹や水生植物の茂みで休んでいる姿を簡単に見つけることができます。夜行性なので大抵は羽の中に頭を埋めて眠っていますが、静かに見守っていると時折目を開けて周囲を見回したり、羽繕いをしたりする様子も観察できます。

日本で生息が確認されたことのあるサギ科の鳥は19種だそうですが、その中には残念ながら絶滅してしまった種もあるそうなので、便利な吉祥寺に暮らしながら身近に野鳥を観察できることは、決して当たり前のことではなく、井の頭公園の保全活動を行っている団体の献身的な努力と、野鳥たちの強い生命力によって実現できているのだと思います。

井の頭公園のゴイサギ
ダイサギに似ているアオサギ
井の頭公園のコサギ
純白の羽のコサギも見つけやすい

珍しく風邪を引いてしまいました

冬の公園の池をプカプカ泳いでいるカモを見ていると「寒くないのかなぁ」と思ってしまいますが、私は寒さに強く、めったなことでは風邪を引きません。しかし今年はどういう訳か豪快に風邪を引いてしまい、しつこい咳のせいで教室を数回休まざるを得ませんでした。早期回復には安静が一番だと分かってはいましたが、ずっと部屋に閉じこもっていると気が滅入ってしまうので、症状が軽い日に人気の少ない時間帯を見計らって何度か井の頭公園に散歩に出かけました。

水仙の見頃が長かった

気温が上がらず水仙はずっと見頃
気温が上がらず水仙はずっと見頃
梅の花は開花が遅れました
梅の花は開花が遅れました

徒歩で公園に向かっていると血行が良くなるのか徐々に咳が治ってきて、到着する頃には殆ど症状が気にならなくなるので、やっぱり人間も他の動物と同じで自然と一体になることで治癒力が高まるのだと改めて実感しました。

2月になったら満開の梅の花を楽しめると思っていましたが、実際にはなかなか開花せず、冬空の下で凍える蕾を見上げては「まだ咲かないな」と待ち遠しく感じては自宅に帰るという日課を繰り返して、2週間かけてなんとか風邪を治したのですが、こんなに長く風邪を引いたのは15年ぶりくらいだったので、さすがに参りました。

中国に武術留学をしていた頃、風邪を引いて太極拳館を休んでいたときに、現地の中国人の武術仲間から電話がかかってきたことがありました。「どうして練習に来ないんだ?」と聞かれたので「風邪を引いてるんだよ」と答えたら「風邪のときは家で寝てちゃダメだ、気が滅入って鬱になるぞ。太極拳の練習で治せるから今から顔を洗って着替えて授業に来るんだ!」と言われました。

太極拳館に行くと、実際に汗の出し方や練習後の休養法、症状に対応した中医薬などを教えてもらったので実践してみた。風邪はすぐには治りませんでしたが、それでも完治までの期間は落ち込むことなく気分良く過ごすことができました。

あれから15年経った現在、咳が出ている状態で人に会うことは適切ではないかもしれませんが、冬の公園を一人ポツポツと散歩しながら当時のことを思い出していると、不思議と前向きな気持ちになれました。これもまたカンフーライフの積み重ねだなと思います。

年齢とともに体質も変わっていくのかもしれませんが、井の頭公園の自然に包まれながら、人生の変化に動じることなく様々な場面を味わっていけたらいいなと感じた2月でした。

3月はいよいよ桜が咲き始める季節になるので、体調を整えてお花見も授業も頑張りたいと思います!

皆さまもどうぞご自愛ください。

この記事を書いた人

日本中国伝統功夫研究会の会長。八卦掌と太極拳と華佗五禽戯の講師。中国武術段位5段/HSK6級/中国留学歴6年(北京市・河南省)

目次