2024年12月末に吉祥寺のレンタルスタジオにて、深夜の時間帯に6時間に及ぶ内部研修を行いました。
当会は公園練習を推奨しているのですが、暑さや寒さが過酷な時期はもちろん屋内練習が適しています。
多くのレンタルスタジオは利用者が少ない深夜の時間帯をナイトパック料金(深夜料金)で格安に貸し出していることと、横山春光会長が過去に深夜練習を実践していたことがあるので、今回私も体調とスケジュールを万全に整えて、会長の監督のもと挑戦しました。
深夜の丑三つ時は、陰陽五行思想において最も陰の気が強い時間帯だと考えられていて、中国武術の鍛錬はこの陰と陽が入れ替わる時間帯に心身に大きな影響があると考えられているそうです。
ただ、本来深夜は人体が休息(睡眠)している時間帯なので、無闇に行うと健康に良くない影響がでることもあるそうなので、注意が必要だそうです。
実際に、中国でも深夜の鍛錬はベテランの武術家が特別な意味のある時期に短期間だけ行うものなのだそうです。
私は初挑戦だったので、身体にほとんど負荷を掛けず内功(内面の充実)を積極的に求めることを得意とする混元太極拳の混元内功を中心に取り組みました。
まず静を求め無極を感じる
研修は深夜0時より始まりましたが、まず最初は無極椿(むきょくとう=自然に立ち内気を養う気功法)を行いました。混元太極拳の創始者である馮志強老師は、太極拳の修得にあたって「まず静を求め無極から始めよ」と無極椿の重要性を強調されていますが、無極椿でないと得られない内功があるとされているので、当会でも授業では「まず30分の無極椿を立ってみてください」と指導しています。
とはいえなかなか日常生活の中ではその「30分」を確保して耐えるのは難しいです。チャレンジしてもさまざまな要因でやり遂げられないのですが、長時間のナイトパックということで十分時間があるという心理的余裕がありました。練習時間がたっぷり取れると思うと「普段消化しきれていない型や基礎の練習をしなくては」と気が急くものですが、会長の指導のとおり無極椿から取り組んだことで、結果的に残りの練習時間を十分に活かすことができました。
無極椿を行う30分間という時間の根拠はまた別のレポートで書きたいと思いますが、最初の10分、間の10分、そして最後の10分で体内のバランス感覚やファンソン(力を抜く)感覚が大きく変わります。
深夜の無極椿の効果
30分間立った後に私が感じたのは、やはり「なかなかファンソンできないな」ということでしたが、しかしその後の型の反復練習では、いつも違和感を感じる歩法が安定していて、脚の状態を気にすることなく動作に集中できました。繰り返し混元太極拳の動作を続けていると、深夜だというのにほとんど疲労を感じることなく徐々に力が抜けて足元に落ちる感覚が得られたので、やはり最初に行った30分間の無極椿の効果だと思います。
深夜で他に気が散る要因がないという特殊な条件下であったこと、そして正しい知識と指導のもとで安心して取り組むことができたこと、という二つの好条件が揃っていたことで短時間で得られた効果であると思いますので、決して無条件でお勧めできる鍛錬方法ではありませんが、例えば仕事で酷く消耗した日の夜や、肩こりや腰痛などが辛い夜などは、寝る前にベッドの横で30分間無極椿を行ってから就寝するという取り入れ方なら、安全で有効的だと感じました。
冬休み中の特殊な体験でしたが、明け方に自宅に戻り数時間の仮眠を取ると自分でも驚くほど回復できていたので、深夜研修のためにキャンセルした用事を改めて時間調整をして済ませることができました。
その後も体調を崩すことはなく活力的にスケジュールに取り組めているので、今年は寝正月になることもなく年を越せることができそうで、チャレンジした甲斐があったと思いました。
今後も内部研修を続けていきたいと思いますので、またレポートしたいと思います。