昨日は、今年7月から吉祥寺・三鷹モリノスタジオで開講している「伝統八卦掌 基礎クラス」「伝統八卦掌 套路クラス」の授業でした。
災害級の猛暑の中、更に湿度の影響で路上までもがサウナ状態、運動には適さない悪天候ではありましたが、全員出席していました。
私を含めた参加者全員が万全の体調とは言えなかったので、八卦掌特有の独特なストレッチと内家拳の養生法を駆使して練習に励みました。
しかし猛暑という時点で質の高い練習は目指せないので、そういう日は「練習内容より授業に参加しただけで、ひと夏分の功夫を積んだ」と思うことにしています。
教室に参加するには前日から体調を整えなければなりません。また炎天下の中の移動を想定して、行こうか行くまいか悩んで判断しなければなりません。よし行こうと決意して自宅を出た時点で、もうすでに相当のエネルギーを費やしていると思います。
これだけで相当な内観法と自己コントロール能力を求められます(しかも猛暑で思考力が落ちている状態で)
練習スタジオに到着した時点で、既に今年の夏の課題をクリアしたようなものです。
もちろん「今日は大事を取って休もう」と判断したとしても、それも上達の一環です(中庸が大切)
自分にとって最適な判断ができるようになることは、中国武術の重要な目的でもあります。
私が中国河南省の太極拳館に留学していた頃、同じクラスに50代くらいの女性の方がいて、その方はもともと友人グループと一緒に「陳式太極拳老架一路」という太極拳最古の型の授業を受けていました。3か月ほど通った後、型を覚えたグループは「もう授業に参加しなくても自分たちで公園で練習できるから」と受講を打ち切って、公園練習に切り替えたのですが、その方は一人で太極拳館の授業に戻ってきました。
私が「今度はお一人ですか?」と声をかけると、こう話してくれました。
「先生がいないと、どんどん自己流になってしまうの」「友達だけだと、今日は休んでもいいかなと怠けてしまう」
と言って、さらに「私はどうも他の友人たちと違うみたい、同じ時間と労力をかけるなら正しい方法で目標を持って学びたい」と言っていました。
型を覚えた後も引き続き教室に通い続けることは、自分に対する投資なのだと思いました。
その話をしたのも暑さが厳しい時期でしたが、私自身も自主練習を継続する難しさを嫌というほど味わっていたので、その方と意気投合して顔を合わせた時は雑談を交わす仲になり、おかげでその年の夏季練習は乗り越えることができました。
「三鷹・伝統八卦掌クラス」は開講してまだ間もないクラスですが、それでも同じ夏を過ごす練習仲間がいることはありがたいことです。
目的や方法は人それぞれが自由に選択できるものですが、その選択肢の一つである武術教室という時間と場所を、これからも繋いでいきたい、と思った昨日の真夏の八卦掌クラスでした。