熊戯について
熊戯は五行において土に属し、火に属する猿戯の次の戯となり、華佗五禽戯の四番目の戯として位置づけられています。
中国では虎背熊腰(こはくゆうよう)成語があり、虎のように幅広い背中と熊のように逞しい腰を持つという意味で、体格が逞しく堂々としていることを表現します。五行における五志(感情)では「思」に属しますが、「思」には”こだわり”という意味も含まれています。好奇心旺盛な熊の動きを模範とすることで、たくましい体を作ることができます。

健康効果
熊は脾にあたり脾胃を鍛えます。よく食べ、よく遊び、たくましい体を持つ熊の慎重で力強い動きを模範とすることで、脾胃の働きを助け、食物の消化吸収を促し、丈夫な体格をつくります。また、睡眠の質と精神の安定を高める効果もあります。
熊戯の動作
空腹の熊が掌を舐め飢えをしのぎ、森の中を歩き回って狩をし、満腹になったあとは自由に遊び、また空腹なって掌を舐める、というストーリーで全ての動作が構成されています。
一、坐洞添爪(ざどうてんそう)
お腹を空かせた熊が掌を舐める動きから始まり
二、黒熊探爪(こくゆうたんそう)
爪で辺りをならす
三、笨熊遊走(ほんゆうゆうそう)
森を歩き回り
四、笨熊猛撃(ほんゆうもうげき)
獲物に襲いかかる
五、笨熊晃体(ほんゆうこうたい)
満腹になると体を揺らし腹ごなしをし
六、笨熊推掌(ほんゆうすいしょう)
両手を突き出す(森で遊びながら体を鍛錬する)
七、笨熊抗臀(ほんゆうこうでん)
お尻で体当たりをし
八、貪熊攀樹(どんゆうはんじゅ)
木に登り
九、怒熊拔樹(どゆうばつじゅ)
さらに木を引っこ抜く
套路名称
一、坐洞添爪左式
二、黒熊探爪左式 ― 黒熊探抓右式
三、笨熊遊走左式
四、笨熊猛撃左式 ― 笨熊遊走右式
― 笨熊猛撃右式
五、笨熊晃体左式
六、笨熊推掌左式
七、笨熊抗臀左式 ― 笨熊晃体右式
― 笨熊推掌右式 ― 笨熊抗臀右式
八、貪能攀樹左式 ― 貪熊攀樹右式
九、怒熊拔樹左式 ― 怒熊拔樹右式
― 坐洞舐爪右式
十、收式