鹿戯について
鹿戯は五行において木に属し、水に属する虎戯の次の戯となり、華佗五禽戯の二番目の戯として位置づけられています。
生まれてすぐに走り出す生態と、すくすくと美しく成長する姿から、中国では子供への贈り物として鹿の彫り物を贈る習慣があります。五行における五志(感情)では「怒」に属しますが、「怒」には緊張という意味も含まれています。鹿の伸びやかな動きを模範とすることで、筋腱の緊張が緩み、血液の流れが促進され、心身のバランスを整えることができます。

健康効果
鹿は肝にあたり筋を鍛えます。鹿を模範した伸び伸びとした動きにより血液の循環を促進し、肝臓の機能を高めることができます。また、肝機能の向上により、体内の老廃物を排出するデトックス効果も得られます。
鹿戯の動作
生まれたての子鹿が成長し、やがて楽しく草原を駆け回るようになり、さらに成鹿なると遠くを見渡し敵を見張り、草を踏みならして静かに休む、というストーリーで全ての動作が構成されています。
一、梅鹿伸腰(ばいろくしんよう)
小鹿が腰を伸ばす動きから始まり
二、転頚運閭(てんけいうんろ)
首をまわし
三、麋鹿歓跳(びろくかんちょう)
青年になった鹿が楽しく駆け回り
四、成鹿亮角(せいろくりょうかく)
雄雄しい牡鹿になると角を誇り
五、回手観足(かいしゅかんそく)
足元を振り返り
六、翹首遠望(ぎょうしゅえんぼう)
遠くを見渡し
七、返回鹿巣(へんかいろくそう)
巣を探し
八、覓巣扒草(べきそうはっそう)
草を掻き分け
九、安臥鹿巣(あんがろくそう)
静かに休みます
套路名称
一、梅鹿伸腰左式 ― 梅鹿伸腰右式
二、転頚運閭左式
三、麋鹿歓跳左式 ― 転頚運閭右式
― 麋鹿歓跳右式
四、成鹿亮角左式
五、回手観足左式
六、翹首遠望左式 ― 成鹿亮角右式
― 回首観足右式 ― 翹首遠望右式
七、返回鹿巣右式 ― 返回鹿巣左式
八、覓巣扒草左式 ― 覓巣扒草右式
九、安臥鹿巣左式 ― 安臥鹿巣右式
十、收式