REPORTAGE / 2004–2010

横山春光の中国武術留学記

黄教練の熱血指導

武縁

2008年6月、太極拳館の一般の授業を、黄忠偉(ホヮン・ジョンウェイ)教練が受け持つようになりました。私はそれまで孤立していて、授業にもあまり出ていなかったのですが、この頃から頻繁に出るようになりました。

黄教練の授業は、動作を止めて、一人一人順番に姿勢を直していくものでした。直された姿勢のまま動かずにいると、太ももに焼けたやかんが乗っているような熱さがやってきます。辛くて「アイヨ!」と叫び声が出ます。

「その熱さを感じたら、そこから功夫がつく。一人ではそこまで追い込めない。だから、そこまで追い込んでくれる指導者には感謝しなくちゃな」

黄教練はそう言っていました。

ある日、授業後に黄教練と学生数人で昼食を食べている時、私は黄教練にこう言われました。

「メイダイヅは才能はあるけど、頭が悪い」

私は嬉しくなりました。ダメなところを言ってくれる先生はありがたいですし、頭が悪いと言われたことがなかったので、珍しくて興味が湧いたのです。理由を聞くと、表演隊の個人指導を受けているからだ、と言われました。外国から来ているのに、それでは意味がない。もっとベテランの、知識と経験のある教練に習わないと、時間と体力の無駄だ。

私は、表演隊の個人指導を受けるのをやめました。

「毎日授業に出るように! 授業を休むな! 授業中はメモを取れ! 半年で見違えるように上達させてやる!」

黄教練の熱血指導が始まりました。私の心は北京の八卦掌にあり、この恩に報いられないことがわかっていたので、心苦しくもありましたが、私は毎日、授業に出ました。

つづく